「たく、ワガママお嬢だな」


「今まで私をほっといた罰だよ」


「そうだな……」


ふわっと体が浮いて、子供のように抱き上げられる。


修斗は片腕に私を乗せて、空いた方の手で私の靴を脱がせてくれた。


そのままリビングに連れていかれて、ソファに座らされる。


修斗はソファには座らず、私の目の前に立膝をついた。


「なに、泣きそうな顔してんだよ」


修斗の大きな手が、そっと私の頬に触れる。


「それは、修斗が一番分かってるんでしょ?」


そう言うと、修斗は困ったような笑みを私に見せた。


「やっぱり里穂には、なんでも分かっちゃうんだな」


「分かるよ。何年一緒にいると思ってるの?」


「そうだよな」


修斗の目が、真剣なものに変わる。