「お前な、合鍵持ってんだから自分で入って来いよ」


そう言って苦笑いを浮かべる修斗。


「なによそれ!」


ああもう、どうして体と言葉は正反対の動きをするんだろう?


「久しぶりに会った彼女に最初に言うのがその言葉?1か月もまともに連絡してこなかったくせに!」


口から出るのは修斗に対する文句ばっかり。


それなのに体は、思いっきり修斗に抱きついていた。


「悪い、里穂。いろいろあって」


「そんなこと分かってる。分かってるもん。でも……」


寂しかったと言う言葉は、なんとか飲み込んだ。


この先きっと、修斗との別れが待っている。


だから、いい加減私も、修斗離れしないと。


「とりあえず、いつまでもくっついてないで入れよ」


「やだ」


それでも今だけは、ワガママを言わせて欲しい。