「そういうもん?サッカー選手って特別な仕事だから、きっといろいろあるのかな?」


「うん。だから今は、そっとしておくの。きっと何かあれば、話してくれると思うし」


「ふーん」


「帰ろっか、麻衣子ちゃん。旦那さん、待ってるんでしょ?」


そう言うと麻衣子ちゃんは、嬉しそうに微笑んだ。


車に乗って、スマホをチェックする。


「今日も、連絡なし」


修斗からメールも電話もなくて、ため息がこぼれる。


麻衣子ちゃんにはそうやって言ったけど、何日も連絡がなくて会うのも拒まれていると、やっぱりちょっと辛い。


「修斗のバーカ」


そうつぶやいて、車を発進させた。


何があったか知らないけど、ずっとほっとかれちゃうと私浮気しちゃうよ?


頭の中でそんな風に修斗に文句を言ってみる。


けどすぐに、浮気なんてできないじゃんって頭の中の自分に言われて、思わず笑ってしまった。


車を運転して数十分、家に着いて車を庭に止める。