「里穂ちゃん。私があげたブーケの効果あった?」


「もーそんなに早くないよ~」


仕事終わり、同じ時間に仕事が終わった麻衣子ちゃんが、私の背中に抱き付いてくる。


結婚式から数週間、麻衣子ちゃんは今まで通りこの病院で働いている。


「てか最近、忙しいみたいで会えてないし」


「え~なにそれ!?」


「まあ、試合で活躍してるから元気だと思うけど。もうすぐシーズンも終盤だし、優勝争いもしてるから気を抜けないと思う」


そう、最近修斗と会えてない。


電話をしてもなんか素っ気ないし、メールをしても返事は短い。


家に行ってもいい?って聞いても、忙しいからとかやることがあるからって言われて断られてしまう。


そして世の中には、また修斗の海外移籍が話題に上がっていた。


インタビューなんかで修斗にその話題が聞かれると、「僕からご報告することはないです」と言っているけど。


「まさか浮気!?いやいや、そんな感じの人じゃないし」


麻衣子ちゃんが私に抱き付いたまま、ブツブツと独り言を言っている。


「違うよ、麻衣子ちゃん。きっと今は、修斗にとって大事な時期だから、一人で考えたいこともあるんだよ」