「なんか、仕事終わりに料理してると、お母さんってすごいなって思う。疲れてるのに、美味しい料理作ってくれて。私なんか、疲れてたらなんにもやりたくなくなっちゃうもん」


「あ~里穂の母さんはすごいよな。仕事も家事も両立して」


「私はきっと、どっちかで精一杯だな。よし、出来た!」


しょうが焼きにキャベツの千切りとトマトを添えて、味噌汁の具は豆腐と油揚げ、ひじきの煮物とポテトサラダは買ってきた物で、デザートにオレンジとリンゴをむいて、夕ご飯の出来上がり。


「いただきます」


声をそろえて、食べ始める。


「ねえ、修斗」


「ん?」


一回お箸を置いて、カバンからこの前買った雑誌を取り出す。


「この雑誌読んだ?」


「クラブハウスにあったけど、パラパラって見ただけ」


「じゃあ、これって本当?」


移籍記事が載っていたページを開いて、修斗に見せる。


その記事に真剣に目を通してく修斗。


そして読み終わったのか、パタンと雑誌を閉じた。