確かに食事の様子を見に行くと、魚料理の食べが悪いかなと思ったことはあったけど、まさか手付かずで返ってきてるとは思わなかった。


自分が担当してる患者さんなのに知らないことがあって、また落ち込んでしまう。


「魚嫌いとは書いてないか。魚は食べて欲しいけど、メイン料理が食べれないって可哀想だよね」


「そうだよね」


「何か別のものに変更してあげた方がいいかも。里穂ちゃん、話聞いてみてくれる?」


「うん、分かった。聞いてみるね」


そう答えると、「ありがとう」と言って麻衣子ちゃんは仕事に戻って行った。


「もう……」


持っていたボールペンを机の上に置き、天井を仰ぎ見る。


「なんにも出来てないな、私」


妙に悲しくなって、今度は机に突っ伏す。


「帰ろうかな」


そう呟いて、パソコンの電源を落とし、使った電卓などを机の中にしまって更衣室に向かった。


「はあ」


口から漏れるのは、ため息ばかり。


着替えをして病院を出て、車に乗る。