「なんか今日は、集中出来て仕事がはかどって」


「それも彼氏パワー?」


「えっ?それは……ちょっとあるかもだけど」


「もー本当にかわいいんだから、里穂ちゃんは」


そう言って私の頭をなでた池谷さんは、椅子から立ち上がった。


「じゃあ、私は帰るね。里穂ちゃんも早く帰りなね」


「はい。お疲れ様でした」


「お疲れ」


池谷さんの姿を見送ってから、机の上を片付けパソコンの電源を落とした。


「修斗に電話しようかな」


「聞こえてるよ、伊藤さん」


「わっ」


ポツリと呟いた声が私の前に座っていた先輩たちに聞こえたらしく、ニヤニヤしながらこっちを見てくる。


「付き合いたてなの?彼氏と」


「あの、生まれたときからの幼なじみなんです。付き合い始めてからは、5年くらいかな」