「ごめんごめん。結婚も出産も里穂ちゃんの自由だけど、仕事は続けて欲しいなって私の勝手な思い。後輩に育って欲しいなって」


「池谷さんが仕事を続けてる理由ってなんですか?」


「んー私?」


パソコンのキーボードを叩きながら、私の質問に答える池谷さん。


「単純な理由だけど、この仕事が好きだからかな。やりがいもあるし。あと、家にいるより外で動いてた方が自分には合ってた」


「ふふっ。なんか分かります」


いつもテキパキと動いしてる池谷さんを思い出して、家で家事をしているだけでは満足しないだろうなって思うと、少し笑ってしまった。


「さて、カンファレンス行こうか」


「はい」


「いいね~彼氏と会っただけで、いつもより声に元気が出てるよ」


「もう、からかうのはやめてくださいよ~」


そうは言っても、いつもより元気なのは確かだから、池谷さんの言葉は否定は出来ない。


「じゃあ、今日も仕事頑張りますか」


「はい」


そう言って颯爽と歩き始めた池谷さんのあとを追って、カンファレンスに向かった。