「なあ、里穂」


「ん?」


「俺、今シーズン終わったら、日本に帰ろうと思う」


「うん」


修斗の言葉に、静かに耳を傾ける。


「来年35歳になるし、そろそろ俺のサッカー人生に区切りをつけたいって思ってる」


「うん」


「やっぱ最後は日本でサッカー人生終わりたい。FCウイングも、帰って来ないかって言ってくれてるし」


「うん」


海外に飛び出して10年、修斗はいろいろな経験をした。


子供たちが3歳になったころ、イングランドのチームからオファーが届き、私たちは家族で2年間イングランドに渡った。


そこでも修斗は大活躍して、ファンの心をがっちりつかんだ。


イングランドでの生活も楽しかったけど、再びボアシルのオファーを受けた修斗は、思い入れのあるチームでプレーをしたいと言って、私たちはドイツに戻ったの。


そして修斗は、30歳を超えた今でも日本代表で活躍している。


ワールドカップにも出場して、ベスト4という素晴らしい成績を残した。