しばらくそうして果穂が泣き止むのを待っていると、リビングのドアがカチャっと音を立てて開いた。


「ただいま」


「おかえり、お父さん」


そのとたん、果穂の頭をなでていた凱斗はその手を止めて修斗のもとに走っていき、泣いていた果穂も笑顔を見せて修斗のところに走って行った。


「おかえり、修斗」


「ただいま、里穂」


修斗は練習に持って行った鞄を床に置き、凱斗と果穂を順番に抱きしめた。


「なんだ、果穂。また泣いてたのか?」


「果穂ってばまた転んでさ~」


凱斗がさっきあったことを、修斗に伝える。


「ほんと果穂は里穂にそっくりだな。泣き虫だし、よく転ぶし」


「私はそんなに泣かないし、転びません!」


「どうだか」


フッと鼻で笑った修斗は、果穂を抱き上げる。


「よし。ほら、出かけるぞ!」