「にしても、お前のお腹すごいな」


「ちゃんと大切に、この子たちを守ってるからね」


「すごいな」


修斗が私のお腹をなでる。


「里穂もいつの間にか、母親の顔してるし」


「そう?」


「ああ」


「修斗だって、お父さんの顔してるよ」


私のお腹に置かれた修斗の手に、そっと自分の手を重ねる。


「こんなこと言ったらサッカー選手失格かもしれないけど……。怪我しなかったら、俺はドイツで里穂は日本で、離れ離れでさ。こうやって近くでこの子たちの成長を見れなかったわけじゃん。近くにいたからこそ、父親の自覚が出たっていうか。前に里穂が言ってたみたいに、神様じゃないけど、この怪我にも意味があったのかなって思う」


「そうだね」


「まあドイツに帰ったら、またサバイバルの始まりだけど」


「でもまたレギュラー取るんでしょ?」


修斗の手を、ギュッと力強く握る。


「当たり前。レギュラー取って、チームで活躍して、日本代表に選ばれて、最終的にはワールドカップで優勝。それが今の俺の目標」