「神様はちょっと言い過ぎかもしれないけど……。でも、考えてみて。二人で頑張ろう。こんな怪我で、修斗の夢や目標は終わらないでしょ?」


『当たり前じゃん。俺はもっともっと上手くなるんだから』


「うん」


『あのさ、里穂……』


電話の向こうの声に、耳を澄ませる。


『俺、子供がいるって分かってから、この子たちのために頑張ろうって思うようになった。この子たちが大きくなったとき、お父さんってすごいんだって思ってもらえるように』


「うん」


『俺、こんな怪我じゃ負けないから。リハビリ頑張って、必ずボアシルのレギュラーまた勝ち取ってみせる』


「うん!」


最初に聞こえてきた声に比べたら、今聞こえてくる修斗の声は明るく、そして力強い。


「絶対負けない」と、そんな強い意志を感じられた。


『これからの方針が決まったら、また連絡いれるな』


「分かった。待ってる」


『ありがとな、里穂』


最後に修斗はそう言って、電話を切った。