「修斗!」


思わずバッと起き上がってしまって、慌ててお腹をさする。


「やだ……」


起き上がれない修斗を見て思い出すのは、高校のとき、修斗が手術までしなくてはいけなくなったあの怪我。


あのときのように起き上がれない修斗が、担架に乗せられて外に運ばれていく。


そしてそのまま、修斗はピッチに戻ってくることはなかった。


「修斗……」


不安になって、試合が終わってすぐ、修斗に電話を入れた。


それでもすぐに電話に出てくれることはなく、修斗が電話を掛けなおしてきたのは、試合が終わってかなりたったころだった。


『悪い、里穂。連絡遅くなって』


「ううん。試合見てて、修斗が運ばれてったから」


『お前、この前早く寝ろって言ったじゃん。妊婦なんだから』


「だって、気になるんだもん。この子たちも気になるって言ってるよ」


『そうかよ』


電話の向こうから、修斗の疲れたような声が聞こえる。