「お腹いっぱい。ご飯の支度するね」


気分がいくらか落ち着いた私は、今日初めてベッドから出た。


「別に無理しなくていいぞ」


「うーん、大丈夫だよ」


もう夕方に近い時間だったけど、パジャマを脱いで、洋服に着替える。


顔を洗って歯を磨いて、キッチンに立った。


冷蔵庫をのぞいて、今日の献立を決める。


「あっ、そうだ里穂」


「ん?」


「病院、予約しといたから。明日、俺が帰ってきたら行くぞ」


「え~」


文句を言ったら、修斗に軽く頭を叩かれた。


「ちゃんとチームのスタッフに聞いて、日本人の通訳がいるところ選んだから」


「うーん、分かった」


ドイツの病院は、開業医でも基本的に予約を取ってから出かける。