しばらくして咳が止まった修斗は、大きく深呼吸をした。


「なんか今の見てると、本当に夫婦になったんだな感じがするよ」


そう言って優しい笑みを浮かべるのは、修斗と高校時代サッカー部で一緒に戦った吉井君。


「何言ってるの。ずっと前から二人は夫婦同然だったじゃない」


「まあ、それもそうか」


綾香の言葉に、吉井君が苦笑いを浮かべながらうなずく。


「もう、やめてよ綾香」


恥ずかしくて修斗と二人、顔を赤くしてしまう。


「まあ聞いたって惚気話しか出てこないよね」


「間違いない」


誰かがそう言って、みんなに笑いが起こる。


「でも、修斗君心配じゃなかったの？里穂をドイツに連れて行って。この子抜けてるし、方向音痴だし」


「え～私、しっかりしてるよ。ねえ、修斗」


「本当にしっかりしてるやつは、自分のことしっかりしてるなんて言わないと思うけど？」


修斗が呆れたような表情を私に見せてくる。