もう慣れた道を、スイスイと車を走らせる。


私の住んでいるところは都会というわけではないので、車は必需品。


たまに、電車でどこにでも行ける都会が羨ましく思う。


でも、私が住んでる街にも自慢できるものがある。


それは、サッカーJリーグの強豪FCウイングというチームがあること。


昨シーズンは優勝し、日本代表選手を多く輩出している。


そのチームでキャプテンを務める高木修斗が、チームの中心選手。


23歳という若さで日本代表のレギュラーを獲得し、去年の夏にはドイツのクラブチームの練習に参加して、「海外移籍も間近か?」とテレビや新聞などで騒がれている天才。


でも、私は知ってるの。


修斗は、「努力の天才」だということを。


だって彼を一番近くで、小さいころから見てきたのは私だから。


私と修斗は、生まれたときから一緒に過ごしてきた幼なじみ。


そして高校2年の終わりから付き合っている、大切な大切な彼氏。


病院の職員駐車場に車を止めて、職員専用出入り口に向かう。


ICカードでドアを開け靴を履き替え、少し歩いたところにある更衣室に向かった。