「あーあ。修斗がプロになったら、最初のサインは私が貰おうと思ってたのにな。高校のとき約束したよね?」


「あ~」


何かを思い出したのか、頭を掻く修斗。


「最初のサイン、誰にあげた?」


「母さんだと思ったけど」


「それじゃあ、許してあげる」


「なんだよ、許すって」


修斗が笑いながら、チョンと私の頭をつつく。


「まあ、サインはファンに人に譲ってあげる。本物の修斗は、私が独占しちゃったから」


「そんなの、ずっと昔からだろ?」


「え~そうかな?」


「いや。それは俺の方か」


小さく呟かれた言葉が聞こえなくて聞き返すと、「なんでもねえよ」と言われてしまった。


「そろそろ飛行機乗らないとやばいな」


「うん」