「ありがと、修斗」


「怪我してないか?」


「うん」


修斗が私をしっかりと床に立たせる。


「行けるか?」


「うん。行こう、修斗」


「ああ」


修斗と手をつないで、家を出る。


今日私たちは、ドイツに向かって出発する。


来週から修斗はシーズンが始まる前の夏季合宿に参加するため、1週間前の今日出発することにしたの。


「忘れ物ない?」


「大丈夫だよ、母さん。そんなに心配しなくても」


今日は空港まで、修斗のお母さんに送ってもらうことになった。


「心配しなくていいって言ったって。修斗一人じゃないんだから」


「里穂のことも心配しなくていい。俺がちゃんと面倒見るから」