あれから時間はあっという間に過ぎ、私は無事に保育園栄養士の仕事を終え、修斗もしっかりとボアシルとの複数年契約を勝ち取ってきた。


ドイツ旅行から帰ってからすぐに私は、川島さんが仕事に復帰したら病院には戻らず、そのまま退職をしたいという意思を園長先生に伝えた。


最初は驚いていた園長先生だったけど、私の話を聞いて「分かりました」と笑顔で言ってくれてホッとしたっけ。


そのあと池谷さんにも同じことを伝えて、6月に入った今、無事に仕事を退職した。


そして修斗はシーズンを終えて、今日本に帰ってきている。


6月終わりから夏季合宿が始まるからまたドイツに帰るんだけど、それまでの約2週間は完全オフ。


だから今、私の部屋の片づけを手伝ってもらってる。


「里穂~これどうすんの?」


「んー捨てちゃおうかな」


修斗が手にした管理栄養士国家試験のテキストは、私が受験するときに使っていたもの。


仕事中にも使えることが載っていて持ってたんだけど、そろそろ情報も古くなるし、しばらく私も日本に帰ってくる予定はないから、思い切って捨てることにした。


「てか、さっきから俺ばっかり働いてないか?」


ベッドに寝転がってる私を、修斗がにらみつける。


「へ~そんなことないよ」


笑ってごまかそうとしたら、修斗にコツンと頭を小突かれた。