「とりあえず、席に行こう」


近くにいた親切そうなスタッフのお姉さんにチケットを見せると、席まで案内してくれた。


「ふう」


席について息を吐く。


「ドイツに来てから一番疲れたかも」


チケットを無くさないように、鞄の中にしまう。


そして視線を、ピッチに向けた。


「あっ、修斗!」


アップをする修斗を見つけて、ちょっとテンションが上がる。


「今日は試合出れるかな?」


今日の先発メンバーを確認しようと、電光掲示板に目を向ける。


「えっ?うそっ!」


ボアシルのメンバーを確認していると、そこに修斗の名前があって驚いてしまった。


「見間違えじゃないよね?」


何回も何回も電光掲示板を見る。