今日の試合は夜からだから、それまではまた一人の時間。


家のお掃除をちょっとして、修斗のアパートの周りを歩いてみることにした。


スーパーに入ったり、かわいい雑貨屋さんに入ったり、一人でランチをしたり。


それなりに楽しんで、ボアシルのスタジアムに向かった。


「どうしよ？すごい人……」


スタジアムに近づくにつれて、あまりにも多い人に不安になってくる。


しかもサポーターみんな、試合前だというのに、ビール片手に陽気に騒いでいる。


「そういえば前テレビで、ボアシルのスタジアムって８万人くらい入るって言ってたような」


修斗が私のことを心配してくれた意味がよく分かった。


日本で一人この状況になってもちょっと尻込みしちゃうのに、ドイツ語もさっぱり分からない私が一人でこの場所にいるって、ちょっと危険？


まあ、みんなサッカーとビールに夢中で、私のことなんて気にしてないか。


そう思うことにして、人込みの中に足を踏み入れた。


荷物検査とチケット確認を終えて、スタジアムの中に入る。


「うわ～すごい人」


試合を見る前に、普段見ることのない人の多さにビックリしてしまう。