「眠いよな?」


「うん」


私のあくびを見て、修斗がそう聞いてくる。


日本とドイツの時差が8時間もあるんだから、こっちが夕方ってことは日本は夜中ってこと。


「これが時差ぼけ?」


そう聞くと、修斗は笑いながら「そうだ」って答えてくれた。


「里穂、お腹は?」


「ちょっと空いてる」


「じゃあ1時間くらい眠って、どっか飯食べに行くか」


「うん」


返事をすると、修斗は子供のように私を抱き上げ、寝室に向かって歩き出した。


「里穂、軽くなった?」


「私は変わってないよ。修斗が大きくなったんじゃない?」


「ああ、そうかも」


どれだけハードな練習をしているかは分からないけど、修斗の体は日本にいたころより少し大きくなった気がした。