お湯を沸かして、温かい烏龍茶を入れる。


「んっ、いい香り」


急須とマグカップを持って、リビングに戻る。


持ってきた物をテーブルに置いて、お父さんとお母さんを起こさないためにテレビの音量を下げた。


ホットカーペットの上に座って、マグカップに烏龍茶を注ぐ。


温かい烏龍茶を飲んで、ホッと息を吐いた。


「なんか、私の方が緊張してる?」


そんな風に思っている自分に、なんだか笑えてくる。


「きっと修斗は緊張なんかしてないんだろな」


試合が始まるまでのこの時間すら、修斗にしてみれば、楽しい時間なんだ。


試合が始まるまでの時間、テレビではブンデスリーガの前半戦の総集編が流されていた。


修斗が所属するチームは、現在2位という好成績。


その番組の最後に、修斗の特集が流れた。


ドイツに渡ってからのトレーニングキャンプや、試合直前の様子。


久しぶりに見る修斗に、胸がキュンと高鳴った。