準備したものを持って、教室に入っていく。


今日のお昼ご飯は「七草粥」だから、そのときに使う材料を少しもらって実物を見せての授業をする予定。


こういう行事食って、栄養士の勉強してなかったらスルーしてたんだろうなって思う。


今の時代共働きの両親が多いし、よっぽど食事に興味がないとこういうこともやらないんだろうなとも。


だから子供たちには食育を通して理解して欲しいんだけど……。


「疲れた……」


授業が終わって廊下に出ると、自然とため息をついてしまう。


「なかなか上手くいかないな」


まだ余裕がなくて、淡々と進めるだけで終わってしまった初めての授業。


本当はもっと、子供たちを巻き込んで授業をしたかったんだけどな。


肩を落としながら職員室に戻る。


「その様子じゃ、あんまり上手くいかなかった?」


「園長先生」


職員室にいた園長先生が、私に声をかけてくれる。


大らかな雰囲気を持ったこの園長先生に見つめられると、何でも話してしまいたい気分になる。