そして鞄からリングケースを取り出し、修斗からもらった指輪をはめた。


仕事中は、間違えて食事に入っても困るし、子供たちに当たって怪我をさせても悪いから、外すことにしている。


でも少しでも長く指輪をはめていたくて、常に持ち歩いているんだ。


スマホで修斗からのメールを確認する。


「あっ、来てる」


メールが届いていて、思わず笑顔がこぼれる。


修斗は、チームが用意してくれたアパートに住むそう。


必要最低限の物は用意してあるけど、それ以外に必要な物は、チームがつけてくれたドイツ語の通訳兼家庭教師の人と買い物に行って、ちょっとづつ揃えているみたい。


今日もこれから買い出しに行くってメールに書いてあった。


ドイツと日本の時差は8時間、今日本が18時だからドイツでは午前10時ってことになる。


『おはよう、修斗。こっちは仕事終わったよ。』


それだけメールを打って、とりあえず家に向かって車を走らせる。


家に着いてメールを確認すると、もう返事が来ていて急いでそれを開いた。


『お疲れさま。来週からやっとトレーニングキャンプ始まる。早くサッカーしたい』


「修斗、本当にサッカー好きだな」