「私は続けるよ。今の仕事好きだし、あの職場居心地いいじゃん」


「そっか」


「正直言っちゃえば、有難いことに彼の収入でお金には困らないのね。彼も、働いても働かなくてもどっちでもいいって言ってるし」


そこまで言って、麻衣子ちゃんは烏龍茶を飲む。


「仕事を辞めるときは、子供が出来たときかな。まあ、今すぐ欲しいってわけじゃないけど」


「そうなんだ」


麻衣子ちゃんと話していると、恋愛観って一人一人違うんだなって改めて思う。


私はどっちかっていうと、家庭に入って旦那さんの帰りを待ってたいタイプで、麻衣子ちゃんは外で働きたいタイプ。


「てか、もったいないよね。せっかく管理栄養士の免許持ってるんだから、働かないと」


「そうなんだけど……。そういう麻衣子ちゃんは、管理栄養士の資格取らないの?」


「私は別に、里穂ちゃんみたいな仕事したいって思わないから、栄養士の資格で十分。働きながら試験勉強するって大変だし。まあ、勉強する時間が出来たら、受験しようかなって感じ」


「そっか。私も、厨房に戻りたいかも」


ポツリと漏らすと、麻衣子ちゃんの目が大きく見開かれた。


「今の仕事、嫌なの?」


「嫌じゃないよ。だけど出来ないことが多すぎて、自信ないっていうか……」