そしてズボンのポケットから何かを取り出して、私の目の前に差し出した。


「これ……」


目の前に差し出されたハートの形をしたリングケースにビックリして、思わず修斗を見つめてしまう。


「俺まだ、ちゃんと言ってなかったから」


そう言って修斗が、リングケースを開く。


「綺麗」


中から出てきたのは、大きなダイアモンドを中心にピンクのストーンがリングに沿って左右に2つついた、とても綺麗でかわいらしい婚約指輪だった。


「里穂。俺と、結婚して欲しい」


その瞬間は、空港内のざわつきも、アナウンスも、何も耳に入ってこなかった。


聞こえてくるのは、修斗の声だけ。


「はい」


嬉し過ぎて上手く声が出ていたか分からないけど、なんとか返事をする。


私を真剣に見つめていた修斗の瞳が、柔らかいものに変わる。


「里穂」


そしてどこか照れたような表情で、私にこう言った。