それから年が明ける前に、私の弟の廉と修斗の弟の隼斗君が実家に帰ってきて、伊藤家と高木家合同で修斗を送り出すパーティーをした。


そして年が明け、修斗が日本を旅立つ日がやってきた。


空港内、ガラガラとキャリーバッグを引っ張って歩く修斗の隣を、ゆっくりとついて行く。


「里穂?」


「あっ、ごめん」


気づいたら修斗と距離ができていて、少し先で私を待っていた修斗のところに慌てて向かう。


「迷子になるぞ」


「うん」


修斗の服の袖を、ギュッと握る。


「手じゃなくていいのか?」


「手がいい」


差し出された手を握って、また歩き出す。


広い空港の中をゆっくりと歩いて、あまり人気の無いところで立ち止まった。


「なに泣きそうになってんだよ」


修斗が私の顔を見て、苦笑いを浮かべる。