「修斗、入っていい?」


「ああ。いいよ」


軽く修斗の部屋のドアをノックすると、すぐに返事が返ってくる。


「おかえり、里穂」


「ただいま」


ベッドに座っている修斗に、抱き付く。


「ねえ、修斗。荷物、まだ入れるところある?」


「荷物?」


「これ、持ってって」


「これ?」


体を離し、修斗の前に、テディベアを差し出す。


「これ、俺が里穂にあげたやつじゃん。なんで俺が……」


このテディベアは、修斗が前に、今回移籍が決まったチームの練習に参加したときに、ドイツ土産として買ってきてくれたもの。


「このテディベア、修斗がくれたときからずっとベッドの傍に置いてあるの」


ふわふわしているテディベアを、ギュッと抱きしめる。