「それでは最後に、来シーズンのことについてお聞きしたいと思います。世間では今、海外移籍についての話題が上がっていますが、その辺りについてもお聞かせ願えるでしょうか?」


インタビュアーがその話題に触れると、スタジアム中が静まり返った。


「はい。まずは、私事で世間を騒がせてしまっていること、申し訳なく思っています」


そう言って修斗が、頭を下げる。


「来シーズンですが、先日正式なオファーがありドイツの名門クラブ、ボアシルに期限付き移籍が決まりました。高校を卒業し、このチームに来て、たくさん成長させてもらいました。このチームを離れるのは寂しいですが、海外でプレーしたいという夢に向かって、一歩を踏み出したいと思います」


はっきりとそう話す修斗に、スタジアムから大声援が起こる。


「これからもサッカー選手として成長していきます。応援よろしくお願いします!」


ファンに向かって頭を下げる修斗。


そんな修斗に、ファンから「頑張れよー」とか「ありがとー」とか、いつまでも大きな声援が送られていた。


インタビューが終わり、修斗が選手の輪に戻っていく。


その輪の中で、チームメイトに祝福されている修斗。


修斗は、チームメイトにも、ファンにも、そして日本中のサッカーを見ている人にも愛されている。


修斗の日本でのサッカー人生はここで一旦幕を閉じるけど、でもすぐに、新たなサッカー人生が始まる。


修斗を支えられるように強くなろう。


いつまでも鳴りやまない声援の中、私は修斗を見つめながらそんなことを思った。