「どうしたの?」


目線を合わせて、男の子に聞いてみる。


「これあげる」


そう言って差し出してくれたのは、銀色の紙に包まれた小さなチョコレート。


「ありがとう」


お礼を言って受け取ると、男の子はニッコリと笑ってくれた。


「パパ、応援しに来たの?」


「うん!1番!」


「一番?ああ、ゴールキーパーの背番号」


言ってることが分かって、ホッと胸をなでおろす。


それから少し男の子と会話をしていると、それに気づいたお母さんが慌てて私のところに来てくれた。


「ごめんなさいね。この子ったら」


「いえ、こちらこそすみません。すぐに声をかければよかったんですが。いろいろお話ししてくれるので。あと、チョコレートもいただきました」


「この子ったら、主人に似ておしゃべりで」


「キーパーの方ですよね?さっき、1番って教えてくれました」