スタジアムの中には、前半はこのまま終了かという空気が流れている。


「あっ!」


でもその雰囲気を破ったのは修斗。


ドリブルで中央突破を図り、シュートを放つ。


「キャー!」


修斗が放ったボールは、綺麗な放物線を描いてゴールの中へ。


その瞬間、スタジアムに大きな歓声が広がった。


湧き上がる修斗コール。


その大歓声に答えて、修斗はまた試合に戻っていった。


しばらくすると、前半終了のホイッスルが鳴らされる。


FCウイングリードで、前半を終えた。


後半が始まる前にお手洗いに行っておこうと思い、席を立つ。


そのとき、私と席が3つ空いたところに座っていた、ほかの選手のお子さんと思われる2,3歳の男の子と目が合った。


その男の子はニッコリと笑うと、私に近づいてくる。


狭いところを歩いてるからか、その足取りがなんだかおぼつかなくて、私のところに来た瞬間抱きしめてしまった。