「よし!」


最近、背中の中間まで伸びた髪にパーマをかけた。


ふわふわにパーマのかかった髪を、鏡の前でひとつにまとめる。


軽くメイクをして、仕事に行く鞄を持って部屋を出た。


「いってきます」


もうみんな出かけてしまって返事はないけれど、一応声をかけて家の外に出た。


私、伊藤里穂 23歳。


管理栄養士の資格が取れる大学を卒業して、今日から社会人2年目。


病院で管理栄養士として働いている。


大学時代は実家を離れて一人暮らしをしていたけど、社会人になってからは実家からの方が勤め先が近いこともあり、地元に戻って来た。


3つ離れた弟の廉は、県外の大学で体育の先生の資格を取るための勉強中で、今は両親と3人暮らし。


勤め先の病院は、理学療法士として働いているお父さんと、看護師で働いているお母さんがいる病院。


大学での実習先がその病院で、運良く就職できたの。


「では、行きますか」


薄いピンク色の愛車のエンジンをかけて、家を出発した。