少年のお好み焼きは人気があり、飛ぶように売 れた。
だが、その真逆に、少年自身の人気は低かった 。
平凡な顔立ちで積極性もない彼に、興味を示す 女性はいなかった。
片思い相手の女性は別の男性と付き合い出して しまい、少年の心は簡単に折れた。
“めげないで……!
アンタにはお好み焼きを作る腕があるでしょ! ?”
未来の心の声は届かず、少年は日に日に気力を 無くしていった。
「僕は、なんてダメなヤツなんだ……」
お好み焼きを焼いている最中も上の空。
数日後、身寄りのない彼は、とうとう流行り病 に倒れて死を迎えた。
彼の病は病院に行けば完治するものだったが、 少年はそのような金を持っていなかったのであ る。
貧しい時代。
一部の富裕層しか、満足な暮らしをできないの が現状だった。
少年のような人間は少なくない。
彼の両親もまた、遠い昔、流行り病に倒れ、帰 らぬ人となった。
噴水広場でお好み焼きを売る人がいなくなり、 客は寂しがっていた。
彼のお好み焼きは、多くの人を幸せにする味だ ったのだ。
少年の死を知って悲しむ者は多く、そのうち噴 水広場には花が添えられるようになった。
少年が思っていた以上に、彼は街の人々に愛さ れていた。


