夜のうちからお好み焼きの仕込みをしていた少 年は、朝になると着替えもせず、そのままの格 好で外に出る。
街の噴水広場で、お好み焼きの屋台を開いた。
未来と同年代の少年。
江戸時代を彷彿(ほうふつ)とさせる情景だが 、少年の居る世界は日本ではない。
同級生達が学校的な家屋に通う中、少年は毎日 休むことなくお好み焼きを焼き続け、通行人に 振る舞った。
儲けはそんなに多くなく、一日の食事すらまま ならない日もある。
だが、少年は懸命に働いた。
学校に行って学びたいという願いも捨て、ただ 、客においしいお好み焼きを売るためだけに生 きている。
“自分の願望なんて何一つ叶わなくて、むしろ 、他人の胃袋を満足させるためだけに暮らして る。
悲しみで胸が熱い。
なのに、幸せを感じる……。
『生きてる』って実感がある。
この感情を、私は知ってる……”
少年の姿になった未来は、両手で胸をおさえた 。
自分はなぜ、こんなにも懸命に働いているのか 。
汗や雨で体が汚れても、暮らしは貧しいので毎 日入浴はできない。
客商売だから不潔にはできないので、人気のな い夜、無料で使える公共の場に設置された水道 で全身を洗うのが日課。


