ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐


今夜、未来は久しぶりに夜更かしをした。

自室のベッドに寝そべり、久しぶりの読書によ って疲労した目をつむる。

エルクのことを頭に描いた。

“私いま、学校の誰にも言えないような体験を してる……。

エルクや青乃臣のこと、みんなに言ったら笑わ れるんだろなぁ”

ぼんやりとそんなことを考えながら眠りを迎え たせいだろうか。

未来は不思議な夢を見た。

夢と表現するには足りない。

まさに、直に自分が体験しているような光景が 目の前に広がっていた。


淡いエメラルドグリーン一色の空間に居たと思 ったら、いつの間にか古びた木造建築物の中に 移動していた。

たしかに自分。

なのに、姿は他人だった。

“私、なんでこんなとこに寝てるの……?”

まるで映像を見ているかのよう。

お世辞にも綺麗とは言えない、つぎはぎだらけ の衣服を着た少年の姿をした自分が、見覚えの ない家の布団で寝ていた。

かと思ったら、のっそり体を起こし、せっせと 何かの仕込みを始める。

鍋の中に小麦粉を入れると適量の水で溶き、様 々な具を投入していく。

料理に興味がない未来は、体を操られている気 がした。

要領を分かっているように、スムーズに作業を 進ませる。

“私が、鍋をかきまわしてる……。

これって、お好み焼きのタネ作り……?”

間違いなく、いま鍋をかきまぜている少年は他 人。

なのに、それは自分以外の何者でもないという たしかな意識が、未来にはあった。

鍋をかきまぜる棒の感触が、液状となった小麦 粉の抵抗を受け少年(未来)の手のひらを刺激 する。