青乃臣は動揺を隠すようにまつげを揺らし、
「……さすが未来様。
お気づきでしたか」
「もちろんだよ。
勘はイイ方だから」
「ふふふ。そうですね。
でも、エルク様のためだけでなく、私は未来様 のためにも力を尽くしますよ。
せめて、この星にいる間は、そうさせて下さい 」
「うん。頼むよ」
二人を包んだのは、穏やかな空気にひそんだ切 ない気持ち。
この生活が永遠に続くものではないと、分かっ ているかのように。
エルクはすでに、自分の部屋で爆睡しているら しい。
しんみりした空気を吹き払うように、青乃臣が 切り出した。
「あの、お願いがあるのですが」
「なに?」
「未来様がさきほど読まれていた小説、貸して いただけませんか?
私も読んでみたくて……」
「ああ、いいよ。
あの小説なら、しまうのめんどくさくて机の上 に置いてあるから。
お父さんはどうせしばらく帰ってこないだろう し、書庫は好きな時に使っていいよ。
私達も、もう寝よっか。おやすみ」
「ありがとうございます。
おやすみなさいませ」
青乃臣は未来を見送る。
歩き出した彼女は青乃臣を振り返り、
「寝坊したら起こしてね」
「もちろん、そうさせていただきます」
微笑で答える青乃臣。
窓の外。
朝を待ち構えるような夜闇が広がっているが、 数時間後には太陽が顔を出すであろう。


