未来がイスから立ち上がると同時に、落ち着い た声が室内に響いた。
「こんばんは。
扉のすき間から明かりが漏れていたので、気に なり様子を見に来ました」
「青乃臣…!」
夜間の防犯を兼ねて、青乃臣は屋敷の巡回をし ていた。
城に居た頃、エルクを守るのは警備兵の仕事だ ったが、地球に来た以上、青乃臣がその役を勤 めざるを得ない。
「調べ物でしたか?
邪魔をしてしまい、申し訳ありません」
「もういいよ、読書は終わったから」
未来は言い、室内灯のスイッチを切ると、青乃臣を伴って部屋を出る。
青乃臣がやや後ろを歩く形で、二人は廊下を歩 いた。
「もうすぐ夜が明けてしまいますね。
未来様は、読書がお好きなのですか?」
「昔は好きだったけど、今は全然。
あの書庫に入ったのも久しぶり。
ヴァンパイアについて知りたかったから、ファ ンタジー小説読んでたの」
本当なら異種族関連について書かれた本を読み たかったのだが、そういう書物は稔宅にしか置 いていない。
よって未来は、仕方なくファンタジー小説の内 容に頼った。


