「ラークリマ探し、手伝ってやる。
私に出来ないことなんてないんだからっ」
未来は息巻いて、手にした小説を読み進めた。
主人公男性の住む街に、突然、ヴァンパイアが 現れた。
ヴァンパイアは、その体質ゆえに街の若い女を 次々と襲い、彼女らの血を吸う。
血を吸われた女性もまた、ヴァンパイアと化し 、街の人々の血を求めて獣のごとくさまよい歩 く。
主人公の家族も、ヴァンパイアの吸血被害にあ ってしまった。
「昔、おじいちゃんに聞かせてもらった本、こ んな話だったっけ?
選び間違えた?
なんか、グロいんですけど……」
未来は表紙を確認し直したが、これで間違いな い。
夜中には進んで読みたくない、ホラー風味な内 容だった。
ただ、ヴァンパイアには弱点がある。
街の人々がヴァンパイアの弱みを知ると、形勢 逆転。
ヴァンパイアを追い払い、街の人達は平和な暮 らしを取り戻すことができたのである。
ヴァンパイアに血を吸われた主人公の家族も、 無事に意識を取り戻した。
恐々としてしまう経過がウソだったかのような 、ハッピーエンド。
美しいラストで彩られた最終ページを閉じ、未 来はあくびをした。
意外に長いストーリー。
時計の針は、午前3時を過ぎていた。
「ヴァンパイアって悪者だったんだ。
エルクはそんな風に見えないけどなぁ……。
ま、ヴァンパイアの血は薄いらしいから、当然 か」
日光。
エルクも、空に太陽が昇る時刻は活発に動けな い。
小説を読む限り、ヴァンパイアが苦手としてい る物は他にもあった。
ニンニクと十字架(じゅうじか)。
「十字架のネックレス、隠さなきゃだね。
あとは、ニンニクかぁ。
エルクにはニンニク料理を出さないよう、青乃臣に言っとかないと…!」


