ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐


エルクは、青乃臣が手にする雑誌記事を 横からのぞきこみ、

「フムフム。《女は恋をしてこそ輝き、 本来の魅力を解放する》か。

ジョー、こっち来てからいろいろ学んで んだなぁ」

恋愛コラムなる記事と、青乃臣の下調べ (?)に感心するエルクの言葉を切った のは、未来のひんやりしたセリフだっ た。

「雑誌にまでそんなこと書いてあるん だ。

青乃臣がこっちの世界のこと知ろうとす るのは良いことだし止めはしないけど、 雑誌の記事はうのみにしない方がいい よ。

少なくとも、その記事の内容は私には全 くあてはまらない。

っていうか、恋してるなんて、ウソだ し」

「……そうでしたか。貴重なご意見、感 謝いたします」

頭を下げる青乃臣の言葉に、エルクの裏 返った声が重なる。

「てことは、好きな男がいるってのはウ ソなのか……!?」

だからどうしたの?という顔で、未来は うなずいた。

「うん。クラスのみんなは私の言うこと 信じてるけど、ぜーんぶ!ウソだよ。

みんなは好きな人いて、妄想して楽しん だり、勝手に落ち込んだりして盛り上 がってるけど、私にはそういう気持ち理 解できない。

だって、好きな人なんて出来たことない んだもん」