青乃臣の冷静な口調が、かえってからか いの色を強くしている。
エルクは顔を真っ赤にし、即、否定。
「んなこと、別に気にしてねぇしっ」
未来とは違う方面でプライドの高い彼 は、
「未来が誰を好きになろうが、俺様には 関係ねぇよ」
と、動揺たっぷりに言い放った。
未来は目を見開き、
「アンタ達、そんな話まで耳にしてた の……!?本当に、『ただ通りかかっ た』だけ!?」
驚いた後、彼女は冷静にため息をつき、
「まあ、ウワサになってても仕方ない か。
私、学校中でそんなこと言ってるしね」
と、5歳ほど大人びた表情でつぶやく。
「日本の方に限らず、この惑星に住む女 性の多くは、恋愛話に高い興味がおあり だとか」
青乃臣が、料理本と一緒に置いておいた 某女性ファッション誌のページを広げて 言った。
「学校なる場所も、例外ではないようで すね。
未来様のように、《学校》という大人数 の人間によって構成される組織の一員と して動いてみえる方にとっては、ご友人 と恋について語り合うのが一般的日常生 活だそうですね。
それが、友情を育み、学校生活を彩る手 助けにもなるそうで……」
「その雑誌、稔じいさんの店にあったの か?
小せぇトコなのに、いろんなモン売って んだなぁ」
エルクは目をみはり、感心している。


