眉間にシワをよせ真顔で外食店を酷評し ていた未来も、青乃臣の手料理を口にし た瞬間、明るい表情になった。
昔、稔の家でよく食べさせてもらった、 ひじきの煮物である。
「……久しぶりに食べた。
本当は、こうやって食事を楽しみたかっ たのかもしれない。
手料理って、こんなにおいしいんだね。 今まで、そんなことすら忘れてた自分に 腹が立つよ。
青乃臣、明日も期待してるからねっ」
未来は満面の笑み。
彼女が初めて見せた、華やかな雰囲気。
突然変化した未来の表情を見て、エルク は胸の高鳴りを感じた。
体のどこかに火をつけられたように、一 瞬にして体温上昇。
あまりに突然のことで、エルクは手にし ていたフォークを床に落としてしまっ た。
金属製フォークがダイニングの床を滑っ て、軽やかな音を鳴らす。


