今日、夕食を作る直前、青乃臣は稔に電 話をかけていた。未来の好物をリサーチ するためだ。

結果、未来は昔からドーナツに目がない 少女であることが分かった。

“エルク様も昔からドーナツが大好きで すが、やはり、未来様も……”


青乃臣が本日のおやつにドーナツを作っ たのは、全て、うまく事を運ぶため。

ラークリマ入手への最短ルート。


穏便に、効率よく、迅速(じんそく) に。

青乃臣の行動理念である。


彼は、エルクの専属執事としてアムド城 に仕えて以来、エルクに見返りを求めた ことはない。

将来国を支える立場にあるエルク。そん な彼に尽くすのが、青乃臣の生きがい だったのだ。