その日の夕食。
昨日と違い、食卓には明るい雰囲気が 漂っていた。
ダイニングのテーブルには、青乃臣の手 料理がずらりと並んでいる。
食欲をそそる香りに、未来とエルクは頬 をほころばせた。
「ジョー、ありがとな。
お前のドーナツがなかったら、未来とは 気まずいままだったかもしれない。
お前にはいつも助けられてばかりだな、 感謝してる」
食卓につく直前、エルクが青乃臣の耳元 で感謝を述べた。
青乃臣はやや驚きつつも、
「当然のことをしたまでです」
と、微笑した。
城にいた頃、エルクは、周りの者に感謝 の言葉をかけたことがなかった。
青乃臣に対しても。


