「お二人とも、おやめください!
エルク様! 未来様と仲良くしたいのな らば、発言には気をつけてくださらない とっ!」
青乃臣が止めに入ると同時に、未来は大 声で笑い出した。
「ははははっ!何、必死になってんの? バカじゃない?
ふふっ……。面白っ……」
見下した口調。
けれども今、彼女は愉快な気分に満ちて いた。
こんなにも楽しいのはなぜだろう。
「マグカップのことなら、もう、怒って ないから」
未来は立ち上がり、エルクを見下ろす。
「青乃臣に感謝しなよ?その人のドーナ ツが、私の気持ちを変えたんだから。
あんなにおいしいおやつが食べられるな ら、多少、アンタと仲良くしてやっても いい」
「なんだって……!?
お前、俺様が倒れてる間に、ドーナツ 食ってやがったのか!?」
エルクはベッドを抜け出し、未来をにら むと、次は青乃臣に詰め寄った。
「ジョー、お前は俺様専属の執事じゃな かったのかっ?
なんで未来にまで尽くしてんだよっ。
お前の手作りドーナツ、俺様ですら食べ たことないんだが!」
「あははは。まあまあ、落ち着いてくだ さい。
エルク様も、ドーナツが大好物でしたか ら、興奮してしまうのも無理はありませ んね。
ご安心ください。エルク様の分も、もち ろん残してありますから」
「やったねっ!
それでこそ、俺様専属の優秀な執事 だっ。
いますぐ食わせろ!」
「かまいませんが、もうすぐ夕食のお時 間ですよ?
ほどほどにして下さいね」


