睡眠薬をガブ飲みしたのではないかと疑 いたくなるくらい、起きそうにないエル ク。
晴れの日、ヴァンパイアの眠りは深い。
いらついた未来は、エルクの頬を両手で 強くひっぱったり、彼の布団を引っぺが した。
ようやく気がついたのか、
「んー……。なんだよ、ジョー。乱暴な 起こし方しやがって……。俺様は王子な んだぞ~」
寝ぼけまなこで不満を言いつつ、エルク は目を開けた。
未来は彼の寝ているベッドにドカッと座 り、腕組みをする。
「なっ! なんで未来がいるんだ よっ!」
ここに彼女がいるのが意外だったのだろ う。
エルクはすっとんきょうな声でのけぞり 勢いよく上体を起こすと、そばに立つ青 乃臣とベッドに座る未来を交互に見た。
「あのマグカップ、わざわざ買いにいっ てくれたんだって?」
未来はトゲのある口調で尋ねる。
「干渉しないでって言ったのに、なんで ああいうことするわけ?
ここに居候しなきゃならないからいろい ろ我慢してるってだけで、アンタ、私の こと嫌いでしょ?だったら、放っておけ ばいいじゃん。
むしろ、私の気にいってたマグカップが 割れて、せいせいしたんじゃない?」


