午後を過ぎた頃、土砂降りの雨はやん だ。


学校が終わると、未来はため息混じりに 校門を後にした。

夕日色に染まった水たまりをよけつつ、 歩く。


もうすぐゴールデンウイークなのだと思 うと、多少、彼女の気分は楽になる。

“家では、ウソついたり見栄張る必要も ないしね”

ウソをつくクセ。

自分を、実物以上に良く見せてしまうク セ。

未来は、自分の欠点を知っていたが、だ からといって直す気はない。

“だって、私はみんなの人気者なんだも ん。

勉強ができて可愛くて、運動もでき る……。

そんなスキルを持ちながら無愛想にして たら、絶対仲間ハズレにされるし。

愛想だけは、良くしとかないとねっ”

疲れながらも無理して明るく元気に振る 舞うのは、周りに嫌われないため。

男子からの告白を断るのは、特定の誰か のものになりたくないから。

“私は一人でもやっていける。

恋なんて、したくもないし知りたくもな い”

ウソをつくのにも慣れたし、『恋愛する 女の子』のフリも、難無くこなせてい る。

学校内では、『平和に楽しく、荒波を立 てずに』をモットーに。

自分を偽っている分、家に帰ると、グラ スいっぱいにたまった水のように反動が きてしまうけれど。

無理をしている自覚は、彼女になかっ た。