住み慣れた世界から、突然異世界に行か なくてはならなくなり、さすがのエルク も反抗した。

しかし、実際、そうは言っていられない 危険な状況だった。


クロロプラスト王国で、とんでもない大 事件が起きたのである。

先日、国王であるエルクの父親が、城の 宝物庫に保管されていた宝石・ラークリ マを持ち逃げして、行方をくらましたの である。

前代未聞の出来事だった。


平和なクロロプラスト王国。

戦もなく、裕福な人で溢れ、民はのんび り暮らしていた。

それはすべて、ラークリマが城で守られ ているおかげだった。


ラークリマは1千年以上昔に採掘された 宝石と言われており、クロロプラスト王 国の自然を保つ役割がある。

世界にひとつしかないとされていた、貴 重な石。

透き通った緑色の宝石。

ラークリマには、人々の気品を保ち、平 和を維持する魔力がある。