エルクは不満げに頬をふくらませ、

「なんだよ、それ。

俺様はあんな生意気なガキじゃなかった ぜ?

もっと素直で可愛くて……」

「自己分析ほど怪しいものはありませ ん」

「お前、俺様の執事だよな?」

「ええ。『従順な』が抜けていますが」

「ったく……。

冗談はこのくらいにしといて、なんで、 わざわざこんな家に居候を頼んだんだ よ。

未来なんて、あからさまに俺様達のこと 嫌ってんじゃん」

「城を抜け、この惑星に来た日、

あの公園に着いたのは偶然だと思います か?」

青乃臣は意味ありげに目配せした。

エルクはゴクンとツバをのみ、

「どういうことだよ」

「未来様の祖父…稔様に出会ったのは、 偶然ではありません。

計算して、出会ったのです」

「お前は、始めからここに居候するつも りで動いてたのか?

なんで、わざわざそんなこと……。

もっと探せば、優しい人間、他にいっぱ いいるだろ?」

「ええ。今日のように頼めば、たいてい の方はこちらの事情を理解して下さるで しょう。

反発された場合も、私の魔術で何とかす ることもできます。

しかし、私が選んで未来様の元に来たの には、ラークリマ入手に関わる重要な理 由があります」