月が綺麗な、その日の夜。
青乃臣が食事の支度をし、三人でダイニ ングの食卓をかこんだが、非常に気まず い空気が漂っていた。
それというのも、未来が彼らに、まった く心を開いていないからである。
彼女の、他人を寄せつけない空気は、食 事の雰囲気をあっという間に悪くする。
元々、口数の少ない青乃臣も無言。
未来の言動に納得できず不機嫌なエルク も、口を開かなかった。
「ごちそうさま……」
食事を終え、未来は自室に戻っていっ た。
彼女がいなくなったのを見計らい、エル クは大きなため息をついた。
「なぁ、ジョー。
稔じいさんのとこに戻ろうぜ?
未来は、俺様達のこと嫌ってるみたいだ しさ」
「ふふっ」
青乃臣は微笑し、正面のエルクを見つめ た。
「私は、エルク様の幼少期に戻ったよう な気分ですよ。
未来様も、長い間ご両親とお話してみえ ないようですし、こういった家庭的な雰 囲気に慣れていないだけなのではないで しょうか」